炎を眺めながら暖を取ることが出来る薪ストーブ。
他の暖房にはない魅力があふれる薪ストーブですが、購入前に正しい知識を得ておかないと購入したことを後悔してしまうデメリットも併せ持っています。
この記事では薪ストーブを購入して後悔する人がなくなるように薪ストーブのデメリットに重点を置いて下記の内容で解説していきます。
☑薪ストーブのデメリットを16項目で解説 |
16項目で薪ストーブの購入前に知っておくことべきことを解説しています。
薪ストーブを使っていくに当たり心配なこと、知らなかったことで購入後に後悔する原因になることを網羅しました。
この記事を読むことで、薪ストーブを購入して失敗した、購入しなければよかったという後悔が無くなります。
その理由は20年以上の建築士としての実務経験の中で薪ストーブのある家を多数設計してきた経験と、薪ストーブユーザー歴9年の筆者の経験をもとに書いてあるからです。
目次からあなたの気になっていることから読んでも良いですし、全て読めば薪ストーブのデメリットをすべて知ることができます。
※この記事で解説している薪ストーブのデメリットはキャンプや焚き火で使う薪ストーブではありません。
家用の薪ストーブのデメリットを解説しています。
- 絶対に後悔しないために知っておきたい薪ストーブのデメリット16選
- 薪ストーブのデメリット① 掃除が大変
- 薪ストーブのデメリット② 室内に虫が出る
- 薪ストーブのデメリット③ 面倒な作業が多い
- 薪ストーブのデメリット④ 腰に負担がかかる
- 薪ストーブのデメリット⑤ 使いこなすまでの時間が必要
- 薪ストーブのデメリット⑥ 子供の火傷の心配
- 薪ストーブのデメリット⑦ 毎日火を熾す必要がある
- 薪ストーブのデメリット⑧ 温度管理が難しい
- 薪ストーブのデメリット⑨ 火災の心配
- 薪ストーブのデメリット⑩ 設置費用が高額
- 薪ストーブのデメリット⑪ 薪の保管場所・調達が必要
- 薪ストーブのデメリット⑫ メンテナンスが大変
- 薪ストーブのデメリット⑬ 煙の問題
- 薪ストーブのデメリット⑭ 灰の処理に手間が掛かる
- 薪ストーブのデメリット⑮ 暖まるまで時間が掛かる
- 薪ストーブのデメリット⑯ ランニングコストが掛かる
- まとめ
絶対に後悔しないために知っておきたい薪ストーブのデメリット16選
薪ストーブのデメリット① 掃除が大変

☑ストーブの周りには、薪に付いていた細かい木屑が落ちてしまう。

薪を燃やすために薪を室内に持ってくる時や、薪ストーブに入れようとている時に木くずが落ちて床が汚れます。
薪ストーブの周囲だけではなく、とても小さな木くずや薪ストーブの扉を開けた時に中の灰が室内に舞うこともあります。
薪ストーブを使うシーズンはどうしても家の中が汚れてしまいます。
また、新築で床材が薄い色合いの材料の使うと薪ストーブから出てきたすすで黒い汚れが付いて目立ってしまいます。
薪ストーブを使うと汚れやすいと事前に知っておくことで、汚れに対する心構えができます。
薪ストーブのデメリット② 室内に虫が出る
夏の乾燥時期に薪に小さな虫が付き、薪を使う季節に室内に持ってきた時に虫が室内を徘徊している事がよくあります。
今の住宅は断熱性が良いので夏の暑い日に窓を開けることも少ないので、夏より薪ストーブを使う季節に室内に虫が飛んでいることの方が多いのです。
虫が大嫌いというあなたは後悔しないために、今一度検討し直してみて下さい。
薪ストーブのデメリット③ 面倒な作業が多い
普通の暖房はスイッチ一つで暖房を入れることが出来ますが、薪ストーブは使うことによる作業の負担が増えてきます。
薪ストーブを使うために避けて通れない作業が以下のとおりです。
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灰を出す作業以外は、ほぼ毎日必要です。
炎のゆらぎを優雅に眺めるためには、薪ストーブならではの避けては通れない作業が必要になります。
暖房が必要な季節に薪ストーブだけを暖房として使うためには面倒な作業もセットになります。
薪ストーブと他の暖房の併用も検討する
薪ストーブを使うための作業を毎日やっているほど時間がないというあなたは、薪ストーブともう一種類暖房を設置しておくと良いです。
薪ストーブを使わない夜中や外出時に灯油やガス・電気が熱源の暖房を小さめに点けておいて、起床時または帰宅時に薪ストーブを使うと家の中が寒くならずに済みます。
ただし、二種類の暖房を家に設置することになりますので、予算との兼ね合いが重要になってきます。
薪ストーブのデメリット④ 腰に負担がかかる
薪ストーブを使っていくためには薪を運ぶ作業が必須になります。
薪を作る作業から購入した薪を積む作業、毎日使う薪を外から家の中に持ってくる作業は腰に負担が掛かります。
薪ストーブを使うためには毎日肉体的な負担が必要になり、特に腰への負担は大きいです。
薪ストーブのデメリット⑤ 使いこなすまでの時間が必要
薪ストーブは空気を入れる量を調整することで、火力を調整出来るようになっています。
その時の薪の燃えている状態に合わせて空気の量を調整することで、薪を無駄なく長く燃やすことが出来ます。
丁度良い空気の量と、調整するタイミングを理解するには慣れるしか方法がありません。
薪の種類によっても空気の量や調整するタイミングが異なるので、使いこなして薪を無駄なく燃やしたり、調理に使えるようになるには時間が必要になります。
使いこなすことができるようになると、空気を絞るタイミングも感覚的にわかるようになりますが、初めて薪ストーブを使う方は使いこなすまで時間が掛かります。
薪ストーブのデメリット⑥ 子供の火傷の心配
小さなお子様がいるご家庭では子供が薪ストーブに触って火傷をしてしまうのではないかという心配があると思います。
特に自分で動けるようになったばかりのお子様は周りのものに興味津々なので要注意です。
薪ストーブは高温になる危険なものなので、子供の火傷対策は必須です。
筆者が勧める火傷対策は「ハースゲート」です。
薪ストーブの周囲をゲートで囲うことで、小さなお子様が目を離した隙きに薪ストーブに近付くことを防げます。
薪ストーブを使い始める前に用意して設置しておきましょう。
薪ストーブのデメリット⑦ 毎日火を熾す必要がある
起床後に熾が無い時や外出からの帰宅時にはその都度火を熾す必要があります。
薪ストーブは自分で火を熾さないと暖房として使えない暖房ですので、火熾しの手間が掛かることを知っておくと良いです。
また、薪を燃やすためには割り箸や薪を細く切って作る「焚付材」が必ず必要になります。
この焚付材を自分で作るのも結構な手間になります。
そんな面倒な作業から開放してくれる便利なものが「着火材」です。
太い薪にしっかりと火が点くまで燃えることから着火材を使用しているユーザーも多いです。
冬の間は毎日やることなので価格もお得な大容量の着火材を購入しているユーザーがほとんどです。
積んだ薪の下において火を点けるだけで薪が燃えますので、とても便利で負担が軽くなる材料です。
薪ストーブのデメリット⑧ 温度管理が難しい
薪ストーブを使い慣れるまでは、室内の温度管理が難しいとうデメリットがあります。
慣れるまでは薪を入れ過ぎて室内を暑くしすぎてしまうことがあるのです。
薪ストーブは入れる薪の樹種や薪の本数、空気量の調整を上手にやることで薪を無駄なく燃やすことが出来ます。
薪ストーブのある家の設計を手掛けてきて、住まわれている方は皆さん薪ストーブに慣れるまで室内が暑くなりすぎて冬でも窓を開たという経験をしています。
設置する薪ストーブとその家の間取りに合わせて上手に使うには、その家に住んでいる人が慣れるしかありません。
薪ストーブのデメリット⑨ 火災の心配
薪ストーブのことで聞かれることが多いのが、火災の心配のことです。
結論は、正しく使っていれば薪ストーブを使うことで火災の可能性が高くなることはありません。
あるとしたら、煙突のメンテナンスを何年もしていなかった場合に煙道火災が起きる可能性があることです。
定期的に煙突掃除やストーブ本体のメンテナンスを行うことで、薪ストーブだから火災が心配ということはありません。
薪ストーブも他の暖房機器と同じく、正しい使い方とメンテナンスをして使用することで安全に使用することが出来ます。
一方、地震の時の安全性を薪ストーブと他の暖房機器と比較するとどうでしょうか。
薪ストーブは重量が100kg近くあるものが多く、特に壁などに固定しなくても地震で転倒する心配は少ないのです。
地震時の転倒への心配は、他の暖房機器と比べて薪ストーブの方が安全といえます。
薪ストーブのデメリット⑩ 設置費用が高額
薪ストーブは設置に掛かる費用が高額です。
家の広さ、本体の材質やオーブンの有無によっても薪ストーブ本体の金額が大きく変わります。
さらに薪ストーブ本体に煙突と取付費用が必要になります。
本体+煙突+取付費用+屋根の煙突作成+煙突の板金仕上げ=約120万円以上~
最低上記の金額が必要になります。
薪ストーブのデメリット⑪ 薪の保管場所・調達が必要
薪ストーブを使うには薪を確保し、保管しておく場所が必要になります。
さらに薪を自作する場合は作業スペースも必要になります。
保管する薪の量は地域によって気温の差があり、一冬で使う薪の量も違うので一概には言えません。
ですが、数年先までの薪を自分で作り確保しておくとなるとそれなりに敷地の広さが必要になります。
薪ストーブを導入する際は、近隣の薪ストーブユーザーに薪の確保について聞いてみると一番良くわかると思います。
一冬分だけ保管するか、または数年先まで自分で薪を作って保管したいのか。
この点も十分に検討しておかないと、いざ薪ストーブを導入しても薪の保管場所がないということになり得るのも薪ストーブのデメリットです。

☑白樺の原木。軽い部類に入る白樺の原木でも2Mほどの長さのものは一人で動かすのは大変。

☑割った薪を置く場所も必要になる。
また、地域によっては薪ストーブで使う薪の調達も簡単ではない可能性もあります。
特に薪ストーブで使う薪を全て自分で作りたいという方は、薪にするための原木が手に入らないこともあります。
森林組合で原木を購入する方法もありますが、相当広い保管場所が必要になることと、素人が一人で原木を動かすのは難しいので現実的ではない面があります。
薪ストーブで使う薪を自作する前提で薪ストーブを購入したい方は、購入前に原木を手に入れるあてを見つけておくと良いでしょう。
薪の購入を検討している方は薪ストーブの販売・設置をしているお店で聞いてみることが一番良いです。
住んでいる地域の森林組合、振興局のHPで紹介されていることもありますので調べてみると良いと思います。

☑頂いたエゾマツの原木。軽トラック4台分で一冬越せる薪の量になる。

☑冬に向けて4帖分のスペースのウッドデッキは薪の保管場所になる。
薪ストーブのデメリット⑫ メンテナンスが大変
薪ストーブのことを知らない人や、これから薪ストーブの購入を検討している方によく聞かれることがメンテナンスのことです。
多くの方が煙突掃除のことを心配しています。
結論は、煙突掃除は専門の業者に依頼することが最良の方法だということです。
高い場所に登って自分で掃除することも出来ないわけではありませんがとても危険です。
現在は煙突掃除をする専門の業者の方も屋根に登らずに煙突掃除をする機械で煙突掃除をします。
煙突掃除の相場は15,000円から20,000円の間でしょう。
筆者の自宅の場合、しっかり乾燥した薪を使っているので煙突掃除は2年に一回でも大丈夫です。
また、薪ストーブ本体のメンテナンスは素人が自分でできるものではないので薪ストーブ専門の業者に依頼することになります。
薪ストーブのメンテナンスは機種にもよりますが、2~3年に一度で良いのでそのタイミングで煙突掃除も依頼すると良いです。
薪ストーブのデメリット⑬ 煙の問題
薪ストーブは焚き付けの際や薪を足した時に煙突から白い煙が出ます。
焚き付けの際に出る白い煙は臭いもするので、この臭いに近所の方からクレームが出ることもまれにありるようです。
薪ストーブを使うことによって出る煙は、正しい使い方をしていれば焚き付けの時だけ出るもので、火が上がって煙突が温まってくると白い煙は出なくなります。
薪ストーブは下記のように使い方に慣れてくることで煙を防ぐことが出来ます。
・十分に乾燥した薪を使う |
・二次燃焼機能があるクリーンに燃やせる薪ストーブを使う |
・理解できるまで専門業者の説明を受ける |
近隣からクレームが入らないように、出来る範囲で事前に近隣の方に薪ストーブを使う旨を伝えておくと、クレームを防ぐ効果が多少はあるかもしれません。
薪ストーブのデメリット⑭ 灰の処理に手間が掛かる
薪を燃やすと薪ストーブの中に灰がたまります。
灰がたまってくるとその灰を取り出し、処分する必要があります。
処分の方法としては下の選択肢になるでしょう。
1.処分する |
2.肥料にする |
処分する
灰の処分についてはお住まいの自治体によって様々だと思います。
私の住んでいる自治体では、自治体指定のごみ袋に入れて燃えないゴミとして出すことが可能です。
あなたのお住いの自治体に確認して適正に処分しましょう。
肥料にする
畑に撒いて肥料にする方法です。
薪ストーブの灰は、アルカリ性でミネラル等を含んでいると言われています。
ただし薪ストーブを使うシーズンは多量の灰が出ます。
多量に撒き過ぎてもよくないのでシーズンを通して全て畑に撒いて処分するのは難しいかもしれません。
薪ストーブのデメリット⑮ 暖まるまで時間が掛かる
薪ストーブは暖房を点けてから室内が十分に暖まるまでに最低でも1時間位掛かります。
これは暖房を薪ストーブだけ使用していて、就寝中の夜間、薪を入れずに起床して室内が16度前後になった時に掛かる時間です。
家の断熱性能や薪ストーブの使い方にもよりますが、室内が一度冷えてしまった時に暖まるまで時間が掛かってしまうという事です。
薪ストーブで早く部屋を暖める方法
薪ストーブを使用していない時間に家が冷えないようにサブで他の暖房を弱く点けておく方法も解決策の一つです。
夜中や外出時にサブで設置した暖房を弱く点けておくと家が冷え切ることがないので、起床時や帰宅時に薪ストーブに火を入れるとすぐに部屋が暖まります。
この方法はあなたの生活スタイルによっては必要のないことかもしれませんので、じっくり検討してみて下さい。
薪ストーブのデメリット⑯ ランニングコストが掛かる
薪ストーブの知識がない方からは薪ストーブはコストが掛かると思われがちです。
実は他の暖房と比較して薪ストーブに使う薪の調達にコストが掛かるのかというと、決してそのようなことはありません。
参考までに46坪の筆者の自宅を薪ストーブ一台で全館暖房した昨年秋から今年の春までの薪のコストを紹介します。
☑購入した薪 10万円
☑使用した薪の概算数量 6立米
1ケース1.7立米入りで25,000円の薪を4ケース購入しています。
現在余っている薪の量を踏まえて、使用した薪の概算数量を6立米と記載しています。
☑暖房期間→10月末~4月中旬
10月や3月末から4月中旬は、朝少し薪を入れる程度です。
☑秋口から春先までのランニングコストは??
10月から4月までだと7ヶ月ですが、朝しか薪ストーブを使わない1ヶ月を除いて、試用期間を六ヶ月とします。
↓
10万円 / 6ヶ月 =16,666円
薪ストーブ一台でマイナス20℃を下回る厳寒地で薪ストーブだけで暖房をした一月あたりのランニングコストは、約16,000円。
同じ地域でプロパンガスで暖房をした場合、倍近くの暖房費が掛かります。
あなたの住む地域での暖房代と比較してみるとよいです。
まとめ
薪ストーブを後悔しないためのデメリット16選を解説してきました。
下記の記事では新築の家に薪ストーブを付けて失敗する人をゼロにするために5つのポイントで失敗しないための方法をまとめています。
新築で薪ストーブを検討している方は知っておくことで薪ストーブ付けて失敗することが無くなります。
薪ストーブのデメリットを理解して購入しても大丈夫と思ったあなたは薪ストーブのメリットを下の記事でまとめていますので、より詳しく薪ストーブのことを知りたい方は読んでみて下さい。
薪ストーブは専用のアクセサリーを使うことで便利に使える暖房になります。
9年間の薪ストーブ使用経験をもとに、なくてはならない薪ストーブに必須のアクセサリーを下の記事でまとめています。
薪ストーブの購入を決めたあなたは、薪ストーブの炉台の作り方を知っておくと部屋の中での薪ストーブの存在価値を高めることができます。
作り方一つで毎日の生活が大きく変わるのが薪ストーブの炉台です。
薪ストーブユーザーと設計士としての経験から薪ストーブの炉台の作り方と注意点を下の記事でまとめています。
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