【シラス壁メリット・デメリット】シラス壁の家に住む建築士が解説

Architect 建築

この記事では、内装の仕上げ材である内装仕上材、「シラス壁」のメリット・デメリットについて、実務歴20年以上の現役の建築士がシラス壁を使った住宅の設計・施工の実績をもとに解説しています。

 

他のシラス壁の記事との大きな違いは、次の点です。

 

☑筆者自身が「シラス壁」を内装の仕上げに使った住宅に住んでいること。

☑筆者自身がシラス壁に住んでいるので信頼性の高い記事である。

☑住んでいるからこそわかる「メリットとデメリット」をお伝えしている。

 

 

建築士として設計施工に関わった経験と、ユーザーとしての意見を合わせて書いたのがこの記事の内容になります。

 

専門的な立場の方から、これから「シラス壁」を使った住宅の新築・リフォームを検討している方にも役に立つ記事になっています。

 

まずは、シラス壁とはどういうものなのか。

 

次に内装仕上材の「シラス壁」のメリット・デメリットを解説していきます。

 

「シラス壁」とはどんな仕上げ材なのか?

高千穂シラス株式会社が開発し、生産・販売する、九州南部のシラス台地の「シラス」が原料。

 

外装、内装、舗装材等にシラスを原料とした材料を販売しています。

 

材料の特性や商品ラインナップについては高千穂シラス株式会社様のHPに詳しく掲載されています。

高千穂シラス~100%自然素材の健康・省エネ建材
高千穂シラス株式会社の「シラス壁」は、100%自然素材の外装および内装仕上げ材。調湿・消臭機能に優れ、結露、シックハウス、カビなどの悩みも解消。壁材として省エネ・節電にも貢献する、化学物質を一切使用しない健康建材です。

 

内壁仕上げ材「シラス壁」のメリット・デメリット

ここでは筆者が設計施工の実績がある内装壁仕上げ「中霧島壁ライト」について書いていきます。

 

他に5mm厚の「薩摩中霧島壁」、「ビオセラ」等があります。

 

5mm厚と2.5mm厚の大きな違いは吸湿性と伺ったことがあり、検討した結果2.5mm厚を採用しました。

 

他の塗り仕上げ材と比較して、コストと性能のバランスから2.5mm厚の「中霧島壁ライト」を採用しています。

 

この記事を書くに当たり、デメリットとメリットを考えた時、「中霧島壁ライト」の欠点やデメリットと言えることはありません。

 

ただ、材料の「特性」がデメリットになるかもしれません。

 

住んでいて感じるメリットと実務者としてのコストバランス等のメリットはあります。

 

まずはデメリットから詳しく解説します。

 

内壁仕上げ材「シラス壁」のデメリット

中霧島壁ライトのデメリット ①割れが入ることがある

☑シラス壁の入隅に入ったひび割れ

 

漆喰、珪藻土、石膏プラスター等、どの塗り仕上げ材にも共通していることです。

 

結局どんな材料も水を入れて作る材料は割れが入る可能性があります。

 

シラス壁が特別に割れが入りやすいわけではありません。

ではビニールクロスで仕上げた場合はどうでしょうか。

 

ビニールクロスも下地の継目や壁の入隅・出隅は乾燥と共に割れが入ります。

 

天井の場合、大工のレベルによっては、クロスの継目に段差が入ることもあります。

 

シラス壁は湿式の塗り仕上げで水を多く使っています。

 

ビニールクロスと同様の箇所に割れが入ることがあります。

 

家の間取りや、住んでからの湿度環境によって程度に差はあります。

 

これらはデメリットと言うより、材料の「特性」です。

 

自然素材全般に言える「特性」でもあります。

 

自然素材のメリット・デメリットはこちらの記事で詳しく解説しています。

 

検討している方は、住んでいくうちに仕上げに割れが入ることを理解、納得して頂く必要があるかと思います。

 

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中霧島壁ライトのデメリット ②割れの補修箇所が目立ちやすい

割れが入った箇所は、シラス壁もビニールクロスと同様に補修で対応可能です。

 

ここで注意が必要なことがあります。

 

どうしても補修箇所が目立ってしまうことです。

 

特に、照明器具の明かりが当たる場所は、補修したことをわからなくするのはとても難しく感じます。

 

ビニールクロスも割れた箇所はボンドコークというシリコン系の材料で補修をします。

 

補修をした箇所は、クロスの色柄と全く同じ色にはなりません。

 

シラス壁も同様に、補修をしても補修をしていない箇所と同じになりません。

 

これも材料の特性です。

 

補修の範囲や場所によっては、補修箇所を完全に目立たなくすることは難しいのです。

 

この点も割れと同様に、材料の特性ですので、依頼する工務店さんによく相談してから採用しましょう。

 



中霧島ライトのデメリット ③他の仕上げ材と比較してコストがかかる

見学会に来場して頂く方によく言われることがあります。

 

「塗壁って高いですよね?」

 

これはビニールクロスと比較して高いと言われていると思います。

 

塗壁は、仕上げにどんな商品を使っても、ビニールクロスより高くなります。

 

コストの掛からない500番台のビニールクロスであれば尚更です。

 

なぜ塗壁が高いのでしょうか。

 

ビニールクロス 材料+施工費        1平米 1,000円~
塗壁      施工費(下地処理+仕上げ) 1平米 2,000円~ + 材料費

地域や施工する業者によって価格は変わりますので目安としてご覧下さい。

 

ここから何を伝えたいかというと、塗壁仕上げは人の手間がとてもかかる仕上げということです。

 

塗壁仕上げの場合、施工費と、更に仕上げの塗り壁材の材料費が掛かります。

 

要するに、塗壁仕上げはそもそもビニールクロスと価格を比較するものではないのです。

 

デメリットとして「コストが掛かる」というのが正しい書き方ではないかもしれません。

 

シラス壁より、他の塗り仕上げ材の方がコストが掛かる材料はたくさんあります。

 

ビニールクロスと比較した場合にコストがかかると理解頂ければと思います。

 



中霧島ライトのデメリット ④仕上げのパターンによって埃が付く

シラス壁を木鏝でパターンを付けた。大きいところで1mm程の段差がある

 

静電気を発生しないので、静電気が原因で埃が付くというものではありません。

 

塗壁仕上げは左官職人が、コテで材料を塗って仕上げます。

 

そして、塗った材料にコテや刷毛などで模様・パターンを付け仕上げます。

 

このパターン付けで凹凸の大きい仕上げにすると埃が引っ掛かることがあります。

 

手の届きづらい高い場所や掃除のしづらい場所に埃が付くことがあります。

 

埃が付いたら掃除をすればよいだけのことではありますが、気になる方もいるかも知れません。

 

掃除で吸い取れば簡単に取れますので、大きなデメリットではないでしょう。

 

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中霧島ライトのデメリット ⑤壁の出隅が割れやすい

割れの項目で書いた内容との違いは、壁の出隅に物をぶつけた時に割れやすいことです。

 

激しくぶつけた時はクロスでも塗壁でも割れてしまいます。

 

シラス壁特有のものではなく、塗り仕上げに共通していることになります。

 

内装仕上げ材「シラス壁」のメリット

次は「シラス壁」のメリットです。

 

デメリットよりメリットのほうが圧倒的に多いのが「シラス壁」です。

 

※シックハウス対策の点からシラス壁について書いた記事はこちらから ↓

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メリット① 匂いがこもらない 消臭機能が優れている

建築士として手掛けた、シラス壁を使った家に住んでいる方の感想ではありません。

 

シラス壁を使った家に住んでいる筆者自身の感想です。

 

室内でホットプレートで焼き肉したりお鍋をすることはどんなご家庭でもあるでしょう。

 

焼き肉や鍋って結構匂いがしますし、次の日の朝起きても前日の鍋や焼肉の匂いが家の中に残っていることがありますよね。

 

壁と天井をビニールクロスで仕上げた私の実家で鍋や焼き肉をした場合、来ている服に匂いが付きます。

 

そして、次の日も家の中は前日の鍋や焼き肉の匂いが残ります。

 

では、シラス壁を使った我が家の場合はどうでしょうか。

 

まず、匂いがこもらないので着ている服に匂いが付きません。

 

次の日の朝に室内に前日の鍋や焼き肉の匂いが残っていることもありません。

 

ちなみに換気設備は排気のみの3種換気で、0.5回/hの換気容量の設定です。

 

ここから言えることは、シラス壁の消臭機能がとても優れているということです。

 

家の間取りや換気量によって程度に差はあると思いますが、データより体感が重要です。

 

まずは住んでいて一番体で感じるメリットである、消臭機能をメリットの一番目に書きました。

 



メリット② 調湿性が抜群!

シラス壁の吸湿性の良さは、高千穂シラスさんの商品紹介セミナーの時に知りました。

 

霧吹きで材料に水をかけた場合です。↓

シラス壁ではない塗壁材料 → 10回程で水が垂れる
スラス壁         → 20回程、水をかけても垂れずに水を吸収している

おわかりの通り、シラス壁はとても吸湿性の優れた材料なのです。

 

この吸湿性能が、室内の湿度環境をとても良くしてくれます。

 

多湿時は、エアコンの使用を抑えて節電にもなります。

 

室内の湿度に応じて、吸湿・放出してくれます。

 

結露の発生を抑制し、冬でも快適な湿度に室内を保てるメリットがあります。

 

メリット③ 色と質感が良い

様々な塗り仕上げ材を実務で使った中で、シラス壁は色と質感が良い材料なのでお客様にも自信を持ってオススメしています。

 

白は白の中の白というか、とてもきれいな白です。

 

他の色も派手さはなく、落ち着いた色合いで、高級感があります。

 

塗った後の質感も、マットな感じでとても落ち着きがあります。

 

色のバリエーションも多く選択肢が多いのも魅力の一つではないでしょうか。

 

落ち着きがあり、高級感のある仕上げに出来るメリットがあります。

 



メリット④ とても健康的な材料

化学物質が入っていない、100%自然素材です。

 

塗り仕上げ材で安いものの特徴に、自然素材と謳っていながら、実は自然素材がほんの数%しか入っていないものがあります。

 

あとは科学的なものを多く含んで健康的な材料として販売しているものも多くあります。

 

1平米あたり、材料費で500円~1,000円以下のものはこうした材料が多いです。

 

そんな中でシラス壁は100%自然素材の材料です。

 

シックハウスの原因物質を吸着して、再放出しない材料なのです。

 

アトピーや過敏症の方でも安心して使えるメリットがあります。

 

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メリット⑤ 空気がきれいになる

シラスに入っている成分が空気清浄機能を持っています。

 

空気清浄機を使わなくても室内の空気をきれいに保てて節電にもなります。

 

前述した、ビニールクロスに囲まれた実家から帰宅した時にまず感じること。

 

それは自宅の「空気が澄んでいる」ことです。

 

季節を問わず感じられます。

 

シラス壁を仕上げに使うだけで、室内の空気がとてもきれいになるメリットがあります。

 



メリット⑥ 家で森林浴が出来る マイナスイオン効果

シラスの成分が、室内のマイナスイオン濃度を高める効果を持っています。

 

森や緑が沢山ある公園に行くととても気持ちが良いですよね。

 

シラス壁を使うことで、毎日家の中で森林浴が出来るメリットがあります。

 

メリット⑦ 施工コストが掛からない

デメリットの項目でコストがかかるということを書きました。

 

矛盾するようですが、ここで言うコストが掛からないというのは次の理由です。

 

他の塗り仕上げ材と比較してコストが掛からない。

 

世の中には沢山の塗り仕上げ材が存在します。

 

シラス壁以外に、漆喰・珪藻土・スイス漆喰・・・

 

あげれば切りがありません。

 

安い材料から高い材料まで、様々な塗り仕上げ材を使ってきました。

 

シラス壁と他の材料費を比較すると下記のとおりです。

・安い仕上げ材 1平米 500円 ~
・シラス壁   1平米 1,300円 ~
・高い仕上げ材 1平米 3,000 ~

※施工する業者や、施工時期により価格改定がありますので目安です。

 

筆者が使う、2.5mm厚の場合の価格ですが、シラス壁は持っている性能と価格を検討した時に、
とてもバランスが優れていて、他の材料よりコストが掛からない材料なのです。

 

塗り仕上げ材として、多くの良い性能をもち、更にコストが掛からないメリットがあります。

 

まとめ

2.5mmの内装壁仕上げ、「中霧島壁ライト」のメリットとデメリットを解説してきました。

 

ここで書いてあるデメリットは上述したようにデメリットと言うより、材料の特性によるところが大きいです。

 

検討中の方は、ここで書いてあるデメリットはどんな塗り仕上げ材を採用した場合でも起こることと理解して頂ければと思います。

 

そして、デメリットよりメリットの方が多くなったのは、シラス壁を使っている家に住んでいる筆者の率直な感想によります。

 

デメリットとメリットをじっくり考えて出てきた結果になります。

 

シラスを使った仕上げ材は、住んでいる方の身体への影響、そして、室内環境をとても良くしてくれます。

 

他の塗り仕上げ材と比較して、塗壁仕上げで新築やリフォームを検討している方にとてもオススメの出来る材料です。

 



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