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シラス壁の家に住む建築士がシラス壁のデメリットとメリットを解説

新築

この記事では、内装仕上材、「シラス壁」のメリット・デメリットについて、実務歴20年以上の建築士である筆者がシラス壁を使った住宅の設計・施工の経験を元に解説しています。

記事の内容は下記のとおりです。

☑「シラス壁」とはどのような材料なのか

☑「シラス壁」のデメリット

☑「シラス壁」のメリット
執筆者 Masa モリモト
執筆者 Masa モリモト

自宅の壁を全面シラス壁で仕上げた家に8年住んでいます。

実際に住んでみないとわからないことを全てお伝えします。

専門的な立場の方から、住宅の新築やリフォームで壁の仕上材を検討している方にも役に立つ記事になっています。

「シラス壁」とはどんな仕上げ材なのか?

高千穂シラス株式会社が開発し、生産・販売する、九州南部のシラス台地の「シラス」が原料。

外装、内装、舗装材等にシラスを原料とした材料を販売しています。

材料の特性や商品ラインナップについては高千穂シラス株式会社様のHPに詳しく掲載されています。

「シラス壁」のデメリット

①割れが入ることがある

☑シラス壁の入隅に入ったひび割れ

漆喰、珪藻土、石膏プラスター等、どの塗り仕上げ材にも共通していることです。

水を混ぜて作る仕上材はどんなに良い施工をしても割れが入る可能性があります。

シラス壁が特別に割れが入りやすいわけではありません。

一方で日本の住宅の殆どに採用されているビニールクロスはどうでしょうか。

ビニールクロスも下地の継目や壁の入隅・出隅は乾燥と共にジョイントに隙間ができます。

また天井の場合、大工のレベルによってはクロスの継目に段差が入ることもあり照明器具を点灯する時間になると段差がとても目立ちます。

どうしても塗り壁仕上げのひび割れが気になるという方は採用することをよく検討したほうが良いです。

②割れの補修箇所が目立ちやすい

割れが入った箇所は、シラス壁もビニールクロスと同様に補修で出来ます。

ただし、シラス壁の割れの補修は周囲のシラス壁と完全に同じ色にならないのでどうしても目立ちます。

これはシラス壁だけに言えることではなく、どんな塗り壁仕上げの材料でも同じことです。

塗り仕上げの材料は割れた箇所だけ補修するとどうしても目立ってしまうのです。

補修する場所が目立つのがどうしても納得できない場合は、割れが入っている壁一面全てを塗り直すしかありません。

メンテナンスで対応するかは工務店の判断ですのでしっかり確認する必要があります。

③コストがかかる

シラス壁を含め、塗壁仕上げは高いという事前知識をお持ちの方がとても多いようです。

これはビニールクロスと比較して高いと思っている方がほとんどではないでしょうか。

簡単に塗り壁仕上げとビニールクロスの価格差を説明していきます。

ビニールクロス 材料+施工費        1平米 1,300円~
塗壁      施工費(下地処理+仕上げ) 1平米 2,500円~ + 材料費

※地域や施工する業者によって価格は変わりますので目安としてご覧下さい。

このようにビニールクロスは材料+施工費の合計が1,300円に対して、塗壁仕上げは施工費だけでビニールクロスの倍近く掛かります。

筆者の実務経験の中で振り返ると、初めから仕上材をシラス壁を含む塗り壁仕上げを要望されているお客様からは高いという声を聞きません。

要するにビニールクロスと比較して高いと思われている方が多いのです。

ビニールクロスか塗り壁仕上げのどちらにしようか迷っている方にとっては、シラス壁を含む塗り壁仕上げは絶対にコストが高くなりますので注意が必要です。

④ホコリが付きやすい

シラス壁を木鏝でパターンを付けた。大きいところで1mm程の段差がある

静電気を発生しないので、静電気が原因で埃が付くというものではありません。

塗壁仕上げは左官職人が、コテで材料を塗って仕上げます。

そして、塗った材料にコテや刷毛などで模様・パターンを付け仕上げます。

このパターン付けで凹凸の大きい仕上げにすると埃が引っ掛かることがあります。

手の届きづらい高い場所や掃除のしづらい場所に埃が付くことがあります。

埃が付いたら掃除をすればよいだけのことではありますが、気になる方もいるかも知れません。

掃除で吸い取れば簡単に取れますので、大きなデメリットではないでしょう。

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工期がかかる

シラス壁も同様ですが、漆喰や珪藻土などの湿式の仕上材はビニールクロスで仕上げる場合と比較して工期が掛かります。

水を含む仕上材のため、下地のパテをしっかり乾燥させる必要もありますし、仕上げのシラス壁も乾燥のための養生期間を見る必要があります。

ビニールクロスで仕上げる場合は張り終われば次の工事が入ることが出来ますが、シラス壁の場合は季節によっては4~5日ほど乾燥のための養生期間を取ってから次の工事を入れる必要があります。

工期がタイトな工事にシラス壁を採用したい場合は工務店としっかりと相談する必要がありますので注意が必要です。

内装仕上げ材「シラス壁」のメリット

次は「シラス壁」のメリットです。

デメリットよりメリットのほうが圧倒的に多いのが「シラス壁」です。

①消臭機能が優れている

シラス壁を使った家に住んでいる筆者自身の感想ですがシラス壁の消臭機能はとても優れものです。

室内でホットプレートで焼き肉したりお鍋を次の日の朝には前日の鍋や焼肉の匂いが家の中に残っていることがありません。

また、匂いがこもらないので着ている服に匂いが付くこともありません。

ちなみに換気設備は排気のみの3種換気で、0.5回/hの換気容量の設定です。

家の間取りや換気量によって程度に差はあると思いますが、データより体感が重要です。

まずは住んでいて一番体で感じるメリットである、消臭機能をメリットの一番目に書きました。

②調湿性が抜群

シラス壁の吸湿性の良さは、高千穂シラスさんの商品紹介セミナーの時に知りました。

霧吹きで材料に水をかけた場合です。↓

シラス壁ではない塗壁材料 → 10回程で水が垂れる
スラス壁         → 20回程、水をかけても垂れずに水を吸収している

このようにシラス壁はとても吸湿性の優れた材料なのです。

この吸湿性能が、室内の湿度環境をとても良くしてくれます。

多湿時は、エアコンの使用を抑えて節電にもなります。

また、室内の湿度に応じて、吸湿・放出してくれますので結露の発生を抑制し、冬でも快適な湿度に室内を保ち快適な環境で過ごすことが出来ます。。

③色と質感が良い

様々な塗り仕上げ材を実務で使った中で、シラス壁は色と質感が良い材料なのでお客様にも自信を持ってオススメしています。

白は白の中の白というか、とてもきれいな真っ白です。

他の色も派手さはなく、落ち着いた色合いで落ち着いた高級感のある部屋になります。

④健康的な仕上材

シラス壁は化学物質が入っていない、100%自然素材です。

塗り仕上げ材で安いものの特徴に、自然素材と謳っていながら、実は自然素材がほんの数%しか入っていないものがありますがシラス壁は100%自然素材の材料です。

シックハウスの原因物質を吸着して、再放出しない材料なのでアトピーや過敏症の方でも安心して使えるメリットがあります。

⑤空気の浄化作用

シラスに入っている成分が空気清浄機能を持っています。

空気清浄機を使わなくても室内の空気をきれいに保てて節電にもなります。

ビニールクロスを張った家から自帰宅すると自分の家の中の「空気が澄んでいる」ことを季節を問わず感じられます。

シラス壁を使うだけで、室内の空気がとてもきれいになります。

⑥マイナスイオン効果

シラスの成分が、室内のマイナスイオン濃度を高める効果を持っています。

森や緑が沢山ある公園に行くととても気持ちが良いと感じる方も多いと思いますが、シラス壁を使うだけで、毎日家の中で森林浴が出来るようになります。

⑦施工コストが安い

他の塗り仕上げ材と比較してコストが掛からないということです。

設計・施工の実務経験の中で、安い材料から高い材料まで様々な塗り仕上げ材を使ってきましたがシラス壁と他の材料費を比較すると下記のとおりです。

・安い仕上げ材 1平米 500円 ~
・シラス壁   1平米 1,300円 ~
・高い仕上げ材 1平米 3,000 ~

※施工する業者や、施工時期により価格改定がありますので目安です。

筆者が使う、2.5mm厚の場合の価格ですが、シラス壁は持っている性能と価格を検討した時に、
とてもバランスが優れていて、他の材料よりコストが掛からない材料なのです。

塗り仕上げ材として、多くの良い性能をもち、更にコストが掛からないメリットがあります。

まとめ

☑「シラス壁」とはどのような材料なのか

☑「シラス壁」のデメリット

☑「シラス壁」のメリット

上記の内容でシラス壁、のメリットとデメリットを解説してきました。

建築士としての実務経験と、シラス壁を使った家に住んでいる筆者の経験を元にデメリットとメリットを熟考してまとめた内容です。

シラスを使った仕上げ材は、住んでいる方の身体への影響、そして、室内環境をとても良くしてくれます。

他の塗り仕上げ材と比較して、塗壁仕上げで新築やリフォームを検討している方にとてもオススメの出来る材料です。

塗り壁仕上げに使う材料はシラス壁だけではありません。

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