新築やリフォームで薪ストーブの導入を決めて薪ストーブの設置場所を決めた時、次に決める必要があるのが薪ストーブの炉台です。
炉台の作り方一つで部屋の雰囲気がガラリと変わり、部屋のメインになる薪ストーブの見え方が大きく変わります。
この記事では薪ストーブの炉台について下記の内容で構成されています。
☑薪ストーブの炉台を作る時に大切なこと
☑薪ストーブの炉台の種類と作り方を実例で解説
薪ストーブユーザーとしての経験と、建築士として手掛けた薪ストーブのある家の実例写真を使ってい解説しています。
薪ストーブの炉台をどんな造りにしようか悩んでいるあなたの悩みの解決につながる内容になっています。
薪ストーブの炉台を作る時に大切なこと
薪ストーブの炉台を作る時に多くの建築会社や工務店はどんな材料で作るのかを優先して決めようとしがちです。
レンガや石で作るのか、さらにインテリアになる炉台の色のコーディネートに意識がいってしまいがちです。
薪ストーブの炉台の作り方を決める時にはどんな材料や色合いで作るのかということより大切なことがあります。
それは何かと言うと、掃除がしやすい作りにすることです。
薪ストーブを毎日使う季節になると、薪ストーブの周りはとても汚れやすくなります。
ですが、薪ストーブを使う生活を始めてみないと薪ストーブの周りがどのくらい汚れるのかはわかりません。
薪ストーブを使う季節になると炉台周りの掃除は毎日のことになるので、掃除がしやすい作りにしておくことがとても大切なことだったりするのです。
薪ストーブを使っているお客様は、薪ストーブを使う季節になると掃除が大変になることをお話される方がとても多いのです。
だからこそ、これから薪ストーブの炉台の作りを検討していく方や今検討中の方に一度掃除のことをよく知ってもらいたいと思います。
次の項目で、各炉台の作り方と、掃除の面でその炉台の作り方が良いのかということを薪ストーブのある家に住むお客様の意見を踏まえて紹介していきます。
薪ストーブの炉台の種類と作り方を実例で解説
床面とフラットに作る
☑広い居間の中心に鉄板を敷いただけのシンプルな作り
薪ストーブの下に円形にカットした鉄板を敷いているだけのシンプルな作りです。
鉄板の厚み分しか床面から上がっていないので、ほぼフラットといえます。
歩いて足を引っ掛けることもなく、鉄板の上を掃除をする時も掃除機を持ち上げる必要もありません。
居間にさり気なく薪ストーブを置きたいと言うあなたにはピッタリな作り方です。
ただし、掃除の面でデメリットになることがあります。
鉄板を敷いているだけで床面とほぼフラットになるので、薪ストーブ周囲の小さな灰や木くずが部屋全体に広がりやすいのです。
床面と境目になるものがないので、薪ストーブ周囲の掃除はしやすい面はありますが、こまめに掃除をしないと部屋全体に汚れが広がりやすくなります。
こまめに掃除ができる方なら問題ありませんが、掃除が嫌いな方が炉台をフラットに作ると部屋全体が汚れてしまい後悔してしまうかもしれません。
掃除は面倒だけど床面をフラットに造りたいという方にはルンバなどのお掃除ロボを使うと良いです。
床面とフラットになるのでお掃除ロボも段差で動けなくなることもなく、あなたの代わりに部屋の掃除をしてくれます。
炉台を一段上げる
☑アンティークレンガで炉台と炉壁を作成
☑札幌軟石で炉台と炉壁を作成
アンティークレンガや厚めの石を敷いて床面から一段上げる定番の作り方でもあり、部屋の中で薪ストーブの存在を強調することが出来る作り方です。
部屋の中に薪ストーブの存在をアピールして豪華さをプラスすることができる炉台の作り方です。
炉台を一段上げる作りをする時に使う材料は、レンガや石などの滑りづらい材料で作ることが多いので、鉄板などでフラットに作る炉台よりは若干汚れが広がりづらい特徴があります。
ただし、薪ストーブの前面と両サイドの炉台のスペースが小さいと汚れが床面に広がってしまいます。
炉台をフラットに作るより汚れは広がりませんが、炉台をこまめにきれいにしておかないと床面が汚れていることが結構あるというお話を聞きます。
また、こまめに掃除をする必要があるのですが、使用する材料が滑りづらく掃除がしづらいという声もよく聞きますので、見た目は豪華ですが掃除の面では慎重に検討する必要がある作りです。
炉台を一段下る
☑床面から10cm程下げてタイルで仕上げた炉台
☑居間の床面から大きく下がった土間に薪ストーブを設置
レンガで一段上げた作りも良かったけど、いざ薪ストーブを使う生活を始めると掃除がしやすく一段下げておいて良かったと評判の良い炉台の作り方です。
さらに、レンガや石で一段上げた炉台にしたお客様や、床面とフラットの炉台にしたお客様からも、薪ストーブを使い始めてから一段下げた炉台にしておけば良かったという声がとても多いです。
上の写真のように、家の中に広い土間を設置するスペースが有る場合は、その土間に薪ストーブを設置することで、タイル等に蓄熱されて部屋が暖かくなる効果もあります。
また、床面と土間の間の高さを腰を掛けれる高さに作ることで、その場所で薪ストーブの炎をゆっくり眺めながら寛げる贅沢な空間になります。
掃除の面でも床面から十分な高低差を作ることができるので、木くずや灰が部屋の中に散らばることを抑えることができ、土間の中だけを掃除をするだけで済むのでとても楽になります。
広い土間を作らなくても、床面から10cmほど下げた炉台に薪ストーブを設置することでも部屋の中をきれいに保てます。
広い土間のスペースを取らなくても良いので、簡単に部屋が汚れにくい炉台を作ることができます。
薪ストーブの機種によって脚部の長さが違うので必ず10cm下げる必要はありませんが、5cmほどの高さでも木くずや灰を部屋に行きづらくすることができます。
一段下げた作りにすると、薪ストーブからの汚れ以外でも、床に落ちてたゴミをとりあえず一段下がった炉台に落としておきます。
そして、掃除をする時に薪ストーブの灰や木くず一緒に掃除をすれば良いので掃除が効率的になります。
薪ストーブを使ってみないとわからない炉台周りの掃除の悩みを解決してくれる炉台の作り方が「一段下げる」炉台です。
炉台を一段下げた作りにする時は薪ストーブの脚部の長さに注意しないと薪ストーブ下部の灰を溜める場所の扉の開閉ができなくなってしまうので注意が必要です。
薪ストーブの炉台の作り方 まとめ
☑薪ストーブの炉台を作る時に大切なこと
☑薪ストーブの炉台の種類と特徴を実例で紹介
☑実務歴二十年以上の建築士が一番オススメの炉台の作り方
☑重要なのは炉台だけじゃない!知らないと失敗する薪ストーブのこと
薪ストーブの炉台の作り方一つで部屋の雰囲気が変わり、あなたの家のこだわりの一つである薪ストーブの見え方が大きく変わります。
あなたにとって薪ストーブの存在をどう捉えるかで薪ストーブの炉台の作り方が決まると思います。
ただ、筆者が建築士としての経験と薪ストーブユーザーとしての経験から、薪ストーブ周りの掃除が大変だということを知っているので、一段下げた作りが毎日の生活が楽になると思っています。
新築で薪ストーブを付けたいという要望をお持ちの方は、薪ストーブを付けて失敗しないただろうかと心配な方もいると思います。
薪ストーブを付けて失敗する人をゼロにするために下記の記事で5つのポイントで失敗しないために知っておくべきことをまとめています。
コメント
初めまして
ヨツールF500を使っているokuと申します。
ストーブは、新築時に導入しました。
見解をお聞かせください。
①業者に勧められるまま煙突径180で設置。
抜けが良すぎて暖まり方が遅い気がします。
メーカー推奨は150ですが、違いはあるでしょうか?
②初めてストーブを設置した建築士が設計した炉台で、
断熱のため炉台が基礎とつながっていません。
つながっていると、基礎に熱が伝わって冷めにくいと
聞きますが如何なものでしょうか。
炉台は十和田石で、煤で汚れやすくて困っています。
oku さま
コメント頂きありがとうございます。
また、私の書いた記事を読んで、コメント頂いたことも大変嬉しく思います。
ありがとうございます。
早速ですが、問い合わせ内容の返答を致します。
[1について]
「抜けが良すぎる感じする」という点。
まず本体の空気量を調整してみては如何でしょうか。
次に煙突にもダンパーが付いているのでしたら、ダンパーでも空気量を調整してみては如何でしょうか。
煙突にダンパーが付いていないとのことでしたら、業者に交換出来るか聞いてみて下さい。
私もF500ユーザーですが、朝の焚き始めと日中多めの薪を足した時に本体と煙突のダンパーの空気量を全開にしますが、炎が上がって上昇気流ができたらどちらの空気量も中間にしています。
炎の状況を見てもう少し空気を絞ることもあります。
これで良い感じに無駄なく薪を燃やすことができています。
「温まりが遅い気がする」という点
F500のカロリーに対して家が大きいということはありませんか?
もう一点、家の気密性と断熱性も薪ストーブだけではなく、どんな暖房方式を採用した際に暖まりに影響します。
そんなこと知ってると言われてしまうかもしれませんが、上記は家の暖房方式と容量を決める際の大切な点なのでお伝えさせて頂きました。
ちなみに私の家は冬はマイナス25℃以下になることもある、北海道の十勝というところで、高気密高断熱の住宅です。
この地域で2階建て46坪の住宅をF500のみで全館暖房しています。
「煙突径180」について
メーカー推奨が150なので、180にした理由を建築業者もしくは設計者に伺ってみては如何でしょうか。
私は径を180にしたことがないので、薪ストーブ屋またはメーカーから何らかの指示がない場合は、メーカー推奨どおりにしています。
ですが今まで一度もそのような事例はありません。
2について
「断熱のため炉台が基礎とつながっていない」
これは特に問題ないと思います。
基礎に熱が伝わることはあると思いますが、基本薪ストーブの熱は殆ど下に行かないので、基礎とつながっていることが理由で多量の熱が基礎に奪われるといったことはないでしょう。
この点は設計士さんの見解は間違っていないと思いますよ。
むしろ基礎を暖めて冷めにくくする方が、薪ストーブの熱を無駄にしているような気がします。
薪ストーブで基礎を暖めるといった考えの方が理解出来ません。
炉台を冷めにくくさせるより、炉壁の方が熱が伝わるので、炉壁に熱を蓄熱させる方が効果的です。
「十和田石で汚れやすい」点について
十和田石は材質と色合いが、炉台に採用した際に、住んでいる方が毎日の掃除が大変になりそうですね。
白い灰はまだしも、煤で黒く汚れたら掃除が大変そうです。
浴室で採用したことはありますが、炉台で採用したことはありません。
oku様の方に事前に使う材料の説明はなかったですか?
十和田石を採用した経緯がわからないので何とも言えませんが、設計士主体で材料を選択している場合はメリットやデメリットの説明が欲しいところですね。
炉台の使い勝手、特に清掃性については薪ストーブを使った家に住んでみないとわからない点です。
見た目重視で明るい色のタイルを貼っている炉台も沢山見ますが、薪ストーブユーザー視点で言わせてもらうと、きれいなのは最初だけなんですよね。
この点は、設計士の経験というより、ユーザー視点がある。もしくは知っている設計士でないと説明出来ないことだと思います。
炉台は見た目より、清掃性を重視する必要があります。
この点は設計士自身が薪ストーブを使っていないとわからない点です。
以上、長くなりましたが私なりの見解で回答させて頂きました。
疑問な点、わかりづらかった点がありましたらまたご質問頂ければと思います。