これから注文住宅の間取りを作成する方や建売住宅の購入を検討中で希望の間取りを探している方でトイレの位置で悩む方も多いと思います。
特にリビングにトイレがある「リビングイントイレ」を検討中の方にとって、見る機会が少ないリビングイントイレはどうなのか悩ましいところでしょう。
この記事は下記の内容でリビングイントイレのメリットと問題点を解説しています。
1.リビングにトイレがあるメリット |
2.リビングイントイレの防音対策 |
3.リビングイントイレの臭い対策 |
4.リビングイントイレは普通ではないという疑問は本当か!? |
5.リビングイントイレとホールトイレ どっちが正解!? |
6.結論 |
この記事を読むことで次のようなメリットがあります。
☑新築や建売住宅の購入でリビングイントイレにするのかの決断ができる |
☑間取りを作る段階でトイレの位置を決める手がかりになる |
☑リビングイントイレについての疑問や心配な点が解消できる |
筆者が建築士として上記の問題点を解決できるリビングイントイレの間取りを作成し、家が完成してからも住んでいる方が後悔していない家の設計をしてきた経験を元に書いています。
リビングにトイレがあるメリット
小さい子供の世話が楽になる
リビングイントイレのメリットで真っ先に思いつくことが、小さい子供がいる家庭では使い勝手が良いトイレになるということです。
子供がトイレに慣れるまではトイレに付き添う必要があります。
親がトイレと同一階のリビングやキッチンに居る時に子供がトイレに行きたくなったとしてもすぐに付き添うことが出来ます。
子供がいつまでもトイレトレーニングが必要になるわけではないので、家族構成によっては将来的にリビングイントイレがデメリットになってしまう可能性もあります。
ただし、子供が小さいうちは便利であることには間違いないので、間取りを決める際は家族間で相談してじっくり検討することが大切です。
リビングからすぐにトイレに行ける
リビングからトイレが近いと来客時はデメリットになってしまいますが、その家で最も多くトイレを使うのは住んでいる人です。
高齢の方や身体が不自由で家の中で一人で歩く距離を少なくしたい家族がいる世帯ではリビングイントイレは使いやすいものになります。
トイレの暖房が不要になる
玄関を経由するトイレは寒い季節はトイレにも暖房をつける必要があります。
リビングイントイレであればリビングとトイレを一つの空間として暖房の容量の設計をすることでトイレに単独で暖房を設置する必要がなくなることもあります。
リビングイントイレの音対策
リビングとの間に壁を設ける
リビングイントイレの間取りでトイレの音を少しでも軽減したい場合は、リビングとトイレの間に壁を設けると良いです。
壁を設けることで防音とリビングからのトイレの視線を遮ることもありますので視覚的な効果もあります。
家族間や来客時のトイレの出入りを直接見られなくすることも出来るメリットもあります。
トイレの壁に断熱材を入れる
トイレの壁に断熱材を入れることで隣接する部屋へのトイレの音を軽減することが出来ます。
グラスウールであれば24以上の密度の高いものや、セルロースファイバーなどの吸音性の高い材料を入れることで効果が高くなります。
防音ドアを付ける
引き戸よりドアの方が防音効果が高くなります。
さらに少しでも防音効果を高めたい場合は、トイレのドアに防音ドアを付けると良いです。
普通のドアより金額は高くなりますが、リビングイントイレにしなければならない場合にトイレの防音性を高める効果があります。
消音器をつける
トイレに簡単に設置できる消音器を付けるとトイレの最中の音を聞かれないようにすることが出来ます。
小さいものでも効果抜群ですので、リビングイントイレの間取りでない場合も付けて良いものだと思います。
海外製の安価な製品も沢山ありますが、トイレと同じメーカーの消音器は保証や性能が良く安心して使えます。
リビングイントイレの臭い対策
トイレにパイプファンを設置する
24時間換気設備の設置が義務付けられてから、トイレに換気を単独ではなく24時間換気の経路の一つにトイレの換気を設置する家が増えてきました。
24時間換気設備は2時間で一回家の中の空気が入れ替わる換気なので、トイレのように臭いを発生する場所の換気としては即効性がありません。
パイプファンを設置することでトイレの臭いを素早く外に出すことが出来ますが、気密性が下がる心配もあるので依頼する建築業者とよく相談する必要があります。
筆者の自宅は24時間換気にパイプファンを必要な個数設置しており、トイレにも設置しています。
風が強い日はファンが風に煽られてカラカラと回る音がうるさいこともありますが、トイレの換気として考えた時には素早く換気ができるので良い選択だったと思っています。
キッチンとトイレの間にリビングがない間取りにする
リビングイントイレの間取りを検討する時に、トイレとキッチンの中間にリビングを設置しないほうが良いです。
その理由はキッチンのレンジフードにトイレの空気が引っ張られて臭いもリビングを通ることになるからです。
実際に施工したリビングイントイレの注文住宅の間取りが下の画像になります。
このような間取りにすることでリビングイントイレの下記の問題が解決できます。
1.トイレとリビングの中間にキッチンがあることでレンジフードがトイレの臭いを引っ張らない |
2.リビングからトイレの出入りが見えない |
3.リビングからトイレの間が十分に離れていることでリビングでトイレの音がほぼ聞こえない |
間取りの工夫をすることで臭い対策だけでなく音や視線の問題も解決できます。
トイレの仕上げを工夫する
トイレの壁や天井、床の仕上げに臭いを吸収する材料を使うこともトイレの臭い対策として効果的です。
筆者の家ではすべての部屋の壁に「シラス壁」という材料を使っています。
アンモニアを浸した脱脂綿を瓶の中に入れて、その中にシラス壁の塊を入れる実験では15分ほどで臭いが消えるほど高い消臭機能を持ちます。
シラス壁について詳しく解説している記事がありますので興味のある方は読んでみてください。
消臭機能だけでなく、吸湿性能、マイナスイオン、空気の清浄効果のある材料ですので室内の仕上材として高い機能を持つ材料です。
迷っている方へ リビングイントイレは普通ではないのか
リビングイントイレは普通ではないという声を聞くことがあります。
確かに注文住宅ではない建売住宅や分譲マンション、賃貸マンションの間取りの多くがリビングイントイレではない間取りが多く、あまり見る機会が少ないことも確かです。
家の間取りは千差万別で住む人の要望やこだわりを詰め込んだ住む人が使いやすい間取りが正解だと思います。
あなたがリビングイントイレの間取りにしたい明確な理由があればその間取りは正解になります。
迷った時は家族でじっくり相談して、現在の家族構成だけでなく将来的な子供の成長、介護が必要になったときのことを検討して結論を出すと後悔することがないでしょう。
リビングイントイレとホールトイレのどちらが良いのか
あまり見ることのないリビングイントイレとホールや廊下を経由するトイレ(この記事ではホールトイレと記載します。)どちらが良いのか間取りを検討している方はすごく迷うことだと思います。
リビングイントイレはこの記事に書いたように、音や臭いの対策をしないと後から失敗したと思うような間取りになってしまうデメリットがあります。
間取りの工夫も必要になるので、センスや実力のない設計士がリビングイントイレの間取りを作るとあなたが納得できるような間取りが出来きない可能性が高いです。
リビングイントイレの間取りはプロでも部屋の配置をとことん考えて、工夫も必要になる難しいものなのです。
一方でホールトイレはこの記事に書いたような対策をする必要がないことが多く、リビングイントイレのデメリットを簡単に解決してくれるものになります。
トイレをどちらの形にしようか迷って決めきれないという方は、ホールトイレにしておいた方が良いです。
【結論】リビングイントイレにした方が良い人、やめた方が良い人
この章ではリビングイントイレにした方が良い人とやめた方が良い人の結論を解説します。
家の中でも使う機会の多いトイレの配置は失敗すると快適に使える家ではなくなってしまい、トイレが間取りの後悔に繋がってしまう重要なポイントになります。
リビングイントイレにした方が良い人
1.小さい子供がいる世帯 |
2.身体が不自由、将来的に介護の心配がある方 |
3.狭小地の家 |
1と2に当てはまる方は将来的なことを今検討しなければならない間取りに反映すべきかの検討が必要です。
1の小さい子供がいる世帯の場合、子供が大きくなった時にリビングイントレにしなかったほうが良かったと思うかもしれません。
2の介護などの理由も自分や家族が高齢になった時にその家に住んでいるのかどうかをよく検討する必要があります。
将来的なことは今検討しても明確な答えが出しづらいことです。
家族間でよく話し合って決めることが大切です。
3は狭小地の家だと家の面積も限られてくるため、他の部屋との兼ね合いからリビングイントイレにした方が良いケースです。
さらに家のスペースが限られるとリビングからトイレまでの距離を取ることも難しくなります。
このような場合は、できる限りの対策をしたリビングイントイレの間取りにすることで使いやすい間取りになります。
リビングイントイレをやめた方が良い人
1.来客時に気を使いたくない人 |
2.音や臭いに敏感な人 |
3.後悔したくない人 |
上記に当てはまりそうだと思う人はリビングイントイレの間取りはやめておいたほうが良いです。
1はリビングからトイレが近く、トイレの出入りが見えて音も聞こえる位置にトイレがある間取りにしてしまうと来客もトイレに行きづらく、あなたの家に来ることを今後躊躇してしまう理由になります。
住んでいる自分達家族も家族以外の人のトイレの音が聞こえることに抵抗感を持っていることが多いので、普段の生活から来客時も含め、気を使わずに過ごしたい人はリビングイントイレはやめた方が良いです。
2の理由は、音や臭いにが気になる人は一度トイレの音や臭いが気になりだすと本当はトイレからの音や臭いでなくても敏感に反応してしまう可能性があるからです。
そうなると家の中で落ち着いて過ごせなくなってしまいますのでやめておいたほうが良いでしょう。
3の理由は、リビングイントイレはメリットを踏まえてもデメリットになる要素のほうが多いからです。
リビングイントイレは将来的にもデメリットになる要素が多いです。
少しでも心配でリビングイントイレにするのかを決めれないという方はやめておいた方が後悔しないでしょう。
まとめ
1.リビングにトイレがあるメリット |
2.リビングイントイレの防音対策 |
3.リビングイントイレの臭い対策 |
4.リビングイントイレは普通ではないという疑問は本当か!? |
5.リビングイントイレとホールトイレ どっちが正解!? |
6.結論 |
上記の内容でリビングイントイレについて解説してきました。
☑トイレをタンク付きとタンクレスで迷う人は多いです。
タンクレストイレのデメリットをタンク付きのトイレを10年間使ってきた経験から徹底比較しました。
☑トイレの配置はリビングイントイレにするかホールトイレにするのかも重要なポイントですが、他の部屋との兼ね合いも使いやすい家の間取り作りの大切なポイントになります。
一から間取りを作成する時にどのような流れで進めて、業者選びから各部屋ごとに注意したいポイントをすべて下の記事でまとめています。
☑トイレが2階にもあるとどうだろうかと検討している方には下記の記事で詳しく解説しています。
あなたの家に本当に2階に必要なのかがわかります。
☑平屋を計画中、もしくはリフォームで平屋にトイレを2つにするか検討する方へ、4つのポイントで平屋にトイレを2つ付ける必要性を解説しています。
☑トイレは床材をどうするのかも掃除の面で大切な事項です。
クッションフロアーにすることで後悔しないためのポイントを下記の記事で解説しています。
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