本当は内装を塗り壁にしたいけど剥がれたり割れたりするという話を聞いて、クロスとどっちが良いのか迷っている。
そんな方に向けて内装を塗り壁仕上げにするという決断を後悔しないために知っておくと良いことを下記の内容でまとめました。
☑内装を塗り壁にするデメリット17選 |
☑クロスと迷っている時こそ検討すべき3つのこと |
☑内装を塗り壁にするメリット |
☑結論 |
クロスとどっちにしようか悩む根本的な原因は「失敗したくない」という気持ちだと思います。
失敗しないためには塗り壁仕上げのデメリットを追求して、メリットと合わせて知って理解することです。
この記事を読むことで下記の4つのことがわかるようになっています。
1.後悔する原因の内装のデメリットを知ることが出来る |
2.内装を塗り壁にするメリットを理解できる |
3.クロスと塗り壁の違いがわかる |
4.自分の家の内装をどちらにするのか後悔しない決断ができる |
ちなみに筆者は実務経験20年以上の建築士です。
この記事で塗り壁仕上げのデメリットに焦点を当てた内容を書いていますが、設計する家の内装は基本的に塗り壁仕上げです。
さらに自宅の内装は塗り壁仕上げで9年間住んでいます。
設計の実務経験と、実際に塗り壁仕上げの家に住んでいる建築のプロは少ないと思い、塗り壁仕上げを迷う方が不安に思うデメリットをとことん追求して記事を書きました。
これだけの数の塗り壁仕上げのデメリットを解説している記事はないと思いますので、これから新しい家やフィロームで内装を塗り壁にしようか迷っている方の良い参考になると思います。
内装を塗り壁にするデメリット17選
この章では内装を塗り壁にすることのデメリットを解説します。
建築のプロの視点と、内装を塗り壁にした家に住んでいる経験をもとに思い付く限りデメリットを書いています。
これから新しい家やリフォームで内装を塗り壁にしようか検討している方が気になる事項もあると思います。
デメリットを知らなかったことが失敗や後悔に繋がりますので知っておくと良い内容です。
工事費が高い
塗り壁は使う材料にもよりますが、クロスと比較して1平米あたりの単価が3~4倍掛かることが多いです。
これはクロスが材料と施工手間を含んだ単価であるのに対して、塗り壁は養生+下地処理+材料+塗り手間がそれぞれ計上されることが原因です。
なぜこのような計上の仕方をするのかというと、塗り壁の材料の価格が使う材料によって大きく違うことにあります。
クロスの単価は2~3種類くらいであるのに対して、塗り壁の材料は何十種類とあり、それぞれ金額も異なります。
いずれにしてもクロスと塗り壁は単価で比較すると圧倒的に塗り壁が高いので、内装の予算を十分に見ておく必要があります。
職人の腕に左右される
クロスと塗り壁のどちらも施工後すぐに不具合は出づらいですが、時間が経つにつれて技術差が表面に出てきます。
クロスも職人の技術で仕上がりが左右されますが、塗り壁はさらに職人の技術差が出る仕上げです。
腕の良い職人が施工すると、仕上げのパターンもきれいで年数が経っても不具合が起きづらい傾向にあります。
内装を塗り壁にする時は、施工する左官職人が経験のある材料で施工することが重要になります。
仕上げのパターンが決めづらい
塗り壁は職人が手作業でパターン(模様)をつけていきます。
このパターン決めが材料の見本帳に出ている小さなパターン表と、実際に壁面に施工する時とでは見え方が変わってきます。
同じ材料と色・パターンで施工した家を見ることが出来ると良いのですが、見れない時は一種の賭けに近いものがあります。
色やパターンは面積効果で思っていたものと違って見えてしまうこともありますので、自分で色決めやパターンを決断することが難しいものがあります。
色決めが難しい
パターンと同様に色決めも難しいのが塗り壁仕上げです。
面積効果で思ったより色合いが濃かったり薄かったりすることがあります。
この点で失敗しないためにはその材料での施工経験が豊富な会社に依頼することです。
新しく発売された魅力的な商品もあるかもしれませんが、あなたが失敗しないためには実績重視で依頼することが大切です。
商品の情報が少ない
ネットで検索すると自分の家で施工予定の材料の情報を知ることが出来ますが、実際その材料で施工した事例を探すとなかなか出てこない傾向にあります。
これは内装を塗り壁仕上げにしている家の数がクロスと比較して圧倒的に少ないことが原因です。
情報が少ないだけに自分の家に使っても大丈夫なのだろうかという不安に思ってしまうこともあります。
このような場合は塗り壁仕上げに慣れている建築会社で、いつもその材料を使っている会社に依頼すると実績があるので安心して依頼できると思います。
材料の特性が多過ぎる
漆喰や珪藻土など塗り壁材と言われている材料は世の中に沢山あります。
各材料、調湿効果、消臭効果、静電気を発生しない、マイナスイオンを発生するなど特性が沢山あり、どの材料を選択したら良いのか分からなくなります。
特性が多過ぎることで本当に良い材料であるのか、自分達が求めているものが見つからなくなってしまいます。
本物の材料を見抜くのが難しい
特性の項目であげた調湿や消臭効果、さらに自然素材100%などと謳っている材料が本当に謳い文句のとおりの特性を持っているのかは疑問に感じるものがあります。
実際に自然素材100%と書いてある商品が実は化学物質が入っているということもあります。
調湿効果や消臭効果などの特性も、目に見えないものなので本当に効果があるのか信じ難いところがあります。
本物の商品を選択するためにはデータを豊富に公表している材料を選択すると良いです。
各商品のデータを比較すると性能差がわかりますので根気よく探すしかありません。
剥がれる心配
塗り壁を施工する石膏ボードや下地が悪いと塗り壁が剥がれてくることがあります。
塗り壁を施工する職人の腕が良くても大工の腕と建築会社の管理体制が悪いと下地が原因で塗り壁の施工性が悪くなります。
壁の中の下地や石膏ボードの施工性の良さは素人目ではわかりづらい部分ですので、この点も塗り壁の施工に慣れていて、大工の腕も評判の会社に依頼するしかないでしょう。
割れる心配
塗り壁仕上げの家で必ず起こることが「割れ」です。
どんな材料を使っても塗り壁仕上げに使う材料は水を使います。
乾燥する家庭で割れが発生しやすい材料ですので、割れをゼロにするのは難しいものがあります。
材料の特性として知って頂いたうえで内装を塗り壁仕上げにすることが大切ですが、少しでも割れが入るのは嫌な方は塗り壁にはしないほうが良いです。
塗り壁の割れについては下記の記事で詳しく解説しています。
補修が難しい
内装の塗り壁の傷や割れ、色ムラが出た時に直す方法として補修があります。
この補修が非常に難しく、一部だけ補修すると補修していない部分の色と完全に同じ色になりません。
このことから筆者は目立たない割れや傷、色ムラは補修をしない方が自然な感じを保てることからオススメしていません。
割れや傷が付いたら補修をすれば良いと簡単に考えて塗り壁仕上げにすると、いざ補修した時の仕上がりに納得できない可能性があります。
材料の特性として理解して頂く必要があるのですが、金額が高いだけに塗り壁仕上げに不具合が出ることを良しとしない傾向があります。
塗り壁→クロスへのリフォームが難しい
塗り壁にした壁面をクロスにリフォームすると、塗り壁材を剥がす手間が高くなりクロスが塗り壁より高くなることがあります。
一度塗り壁にした壁面をクロスにリフォームする場合は石膏ボードを剥がす必要があるため現実的ではありません。
出来ないわけではありませんが、相当の費用を覚悟する必要があります。
塗り壁に出来ないハウスメーカーがある
ネットでたまに見かけることの一つに、塗り壁仕上げに出来ないというハウスメーカーや工務店があることです。
各建築会社、工法や仕様が異なるので対応できる範囲が異なることが原因ではないかと思います。
あなたが塗り壁仕上げを希望していて、建築会社に出来ないと言われた際は違う会社に依頼した方が良いです。
施工実績がない会社が無理に塗り壁仕上げをやると失敗する可能性がかなり高いです。
ホコリが付きやすい
塗り壁仕上げにしたからホコリが付きやすいのではなく、塗り壁のパターンによっては埃が引っかかることで埃が着きやすくなります。
凹凸の大きい仕上げのパターンにするとホコリが着きやすくなります。
ただし、着いた埃は簡単に取れますので、そんなに心配しなくても良いことだと思います。
汚れを落とすのが大変
塗り壁仕上げに汚れがついてしまうと落とすのが大変です。
小さい子供にいたずら書きをされたり、何かが付着した時は水拭きで取ろうとすると余計に汚れが広がります。
目の細かいサンドペーパーで擦ることで汚れを取ることが出来ますが、難しい作業になるので塗り壁は汚れに対してはデリケートな仕上げといえます。
傷や割れた時のショックが大きい
価格が高いことから傷や汚れがついたり割れた時のショックが大きいです。
上述したように塗り壁の材料の特性なので十分に理解しておく必要がありますが、自分の家の内装の塗り壁に割れや傷が入るとショックを受けてしまいます。
擦ると怪我をすることがある
塗り壁のパターンを木鏝でザラザラな感じに仕上げた時に、擦ると擦り傷を負ってしまうことがあります。
壁の仕上げとしての質感は良いのですが、怪我をすると違うパターンにしておけば良かったと思うこともあります。
内装の塗り壁のパターンは見た目だけでなく、そのパターンにすることで擦った時に怪我をしないパターンにしておくことも大切です。
水がかかりやすい場所で使えない
水跳ね程度で水滴が着いたくらいであればすぐに乾くので支障はありません。
ただし、洗面台の横の壁面を塗り壁で仕上げると、濡れる範囲と付着する水の量が多くなるので注意が必要です。
上の写真は実験的に筆者の自宅で洗面化粧台の横を塗り壁仕上げにした事例です。
赤印の部分が水が着いた箇所です。
水が跳ねると塗り壁材がすぐに水分を吸収しますが、乾くと周りの色良し白っぽくなりました。
塗り壁材は室内の調湿作用がある材料が多いので湿気が溜まりやすい洗面や脱衣室で採用すると良いのですが、直に水がかかる場所は塗り壁以外の材料で仕上げるようにした方が良いです。
クロスと迷っている時こそ検討すべき3つのこと
この章ではクロスと塗り壁のどちらにしようか悩んでいる方にこそ、決める前に検討してほしいことをまとめました。
場合によってはクロスではなく塗り壁一択のこともあると思いますので、仕上材を決める際の参考になると思います。
予算
クロスと塗り壁のどちらにしようか迷っている時は、自分達の家の内装に使える予算を把握することです。
予算を決める前に何となく塗り壁が良いかなと思って見積もりを取ると、クロスとの価格差に驚くと思います。
家の広さにもよりますが、塗り壁とクロスの価格差は数十万円から100万円近くになることもあります。
それだけ同じ壁の仕上げでも塗り壁とクロスの価格差は大きいので、予算を十分に検討してから決めることが大切です。
塗り壁は金額が高いだけに上述したデメリットを理解したつもりでも、実際に自分の家で不具合が発生すると後悔してしまう可能性があります。
デメリットとメリットを理解する
塗り壁仕上げのメリットは後述しますが、クロスと違い内装を塗り壁仕上げにする時はメリットとデメリットの両方をよく知って頂く必要があると思います。
その理由は塗り壁仕上げは他の仕上げ材にはない特性やデメリットを併せ持っているからです。
塗り壁のメリットがとても魅力的で決めるのも良いことですが、悪い面デメリットを理解していないと不具合が起きた時のショックは大きくなります。
この点がこの記事でデメリットを多く解説している理由になります。
シックハウス・アレルギー持ちの家族がいる
家族にシックハウスやアレルギーをお持ちの方がいる世帯は自然素材100%の塗り壁材で仕上げると良いです。
シックハウス対策のクロスの接着剤が出るようになってから年数が経ちますが、やはり臭いはします。
自然素材100%の塗り壁材であれば化学物質が入っていないことあらシックハウス症候群を抑えることも出来ますし、室内に新築独特の糊の臭いが充満することもありません。
このような家族がいる方は塗り壁にお金を掛けるべきだと思います。
内装を塗り壁にするメリット
デメリットに焦点を当てて解説している本記事ですが、メリットも知って頂きたいので、塗り壁のメリットをこの章で解説します。
クロスでは絶対にできない雰囲気の家になる
クロスの見本帳を見ていると「~柄」とか「~調」という柄が沢山あります。
言ってしまえば「~柄」、「~調」は偽物で、例えば「塗り壁調」であれば塗り壁仕上げが本物です。
塗り壁仕上げの家はクロスを全面に貼った家では絶対に出せない本物の質感が出せます。
光が当たった時の色の見え方やパターンの陰影はクロスの「~調」では絶対に出せません。
本物を求める方にとっては内装の仕上げに塗る壁を採用することはクロスと比較するレベルのものではないかもしれません。
湿度の高い季節でも過ごしやすい
塗り壁材の多くは調湿作用を持っています。
塗り壁仕上げにすると材料の調湿作用のお陰で湿度の高い季節でも室内を快適な環境に保ってくれます。
ジメジメした季節でも室内で快適に過ごせます。
優越感に浸れる
世間的には塗り壁仕上げは高いというイメージが強くあります。
高い塗り壁に仕上げた家に住むことで、自分の家は普通の家とは一味違うという優越感に浸れます。
決して自慢するわけではなく、自分のこだわりを取り入れた家ができた満足感に近いものがあります。
リフォームの必要がない
新築の段階で内装を塗り壁仕上げにすると、クロス張りのように何年か経っててからリフォームで張り替えをするというような必要はありません。
塗り壁仕上げは色褪せもないので一度施工するとその仕上がりがずっと続きます。
当初の施工費用はクロスの方が安いのですが、リフォームにお金が掛からない分、塗り壁仕上げは実はコスパが良いということもあります。
誰かとクロスの柄でかぶることがない
知人や友人で同じ時期に家を建てたりリフォームをした人がいると、同じ柄のクロスを使っている人がいたということがあります。
塗り壁仕上げは唯一無二のものですので、誰かの家とかぶることはありません。
最高のコスパの塗り壁材がある
塗り壁推しの筆者が様々な塗り壁材を扱ってきて辿り着いた材料があります。
材料費も高くなく、材料が持つ性能も優れた材料については下記の記事で解説しています。
結論
この章ではこの記事で解説してきた内容と、筆者の建築士としての経験から、内装を塗り壁仕上げにした方が良い人とやめた方が良い人を結論として解説していきます。
内装を塗り壁にした方が良い人
塗り壁仕上げのデメリットよりもデリットに魅力を感じる人は内装を塗り壁仕上げにした家にすることでマイホームを満足のいくものに仕上げることが出来ると思います。
また、シックハウスやアレルギーが気になる人も自然素材100%で出来た塗り壁材を使用することで身体に優しい家を造ることが出来ます。
知人や友人と同じような家にしたくない人や、最高の室内環境で過ごせる家にしたい人は塗り壁仕上げにすることで自分の要望を満たす家造りが出来ます。
やめた方が良い人
予算に余裕がない状況で気になるデメリットが一つでも該当する人は、自分の家の塗り壁に不具合が起きた時のショックが大きくなる可能性があるのでやめておいた方が良いです。
デメリットを理解したつもりでも本音は自分の家では失敗したくない人や神経質な人、依頼する業者が塗り壁仕上げの実績がないのではと不安に感じている人はやめておいた方が無難です。
迷いすぎて答えが出ていないけど決断する時期が近いという方は将来リフォームの機会に塗り壁仕上げにすることも出来ます。
今迷っていて答えが出ないという方はクロスにしておいた方が良いでしょう。
まとめ
☑内装を塗り壁にするデメリット17選 |
☑クロスと迷っている時こそ検討すべき3つのこと |
☑内装を塗り壁にするメリット |
☑結論 |
上記の内容で塗り壁仕上げのデメリットに重点を置いて解説しました。
注文住宅の新築やリフォームの内装でクロスと塗り壁のどちらにしようか迷った時は繰り返し読んで後悔しない欠案をして頂ければと思います。
また、リフォームでクロスから塗り壁仕上げにしたいという方は、リフォームで塗り壁の施工経験があることを確認してから依頼することで不具合が起きることを避けることが出来ます。
さらに、リフォームは価格相場を知らないととても高い金額で契約してしまう危険があります。
リフォームで塗り壁仕上げの内装にすることを検討中の方は複数社から見積もりを取って価格交渉に有利になることが大切です。
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