新築やリフォームの機会に天井に梁を見せる「あらわし梁・化粧梁」にしたいという要望が増えてきました。
この記事では、天井に木の温もりとインテリアデザインとして取り入れることが多くなってきている化粧梁について実例で解説していきます。
記事の内容は下記のとおりです。
☑あらわし梁・化粧梁とは?
☑あらわし梁・化粧梁のメリット
☑あらわし梁・化粧梁のデメリット
取り入れるメリットもありますが、デメリットもしっかりと理解した上であなたの家に上手く取り入れることで天井のアクセントになりお洒落な空間を造ることが出来ます。
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あらわし梁・化粧梁とは?
☑あらわしになっている梁は全て構造材
「あらわし梁」または漢字で、「現し梁」と表記することもあります。
「化粧梁」と呼ばれることが多いと思いますが、同じ意味になりますのでこの記事ではあらわし梁を化粧梁に統一して解説していきます。
天井に梁を見せてデザインやアクセントをプラスするために架ける梁や、構造材である梁をあえて見えるようにデザインしている梁を化粧梁といいます。
化粧梁のメリット
①開放的な空間になる
☑梁をあらわしにし、勾配天井にすることで明るく開放的な空間に
住宅の天井は一般的に高さを2.4M~2.6Mの範囲で作ることが多いです。
梁をあらわしにした場合、梁を見せるために天井を作ると2.6Mほどの高さで作ることが出来ます。
天井が高くなるので、開放的な空間を作れるメリットがあります。
家の天井を高くすることで、部屋の広さが広く見える効果もありますので実際の部屋の広さより広く開放的な空間になります。
②梁の経年変化を楽しめる
化粧梁に本物の木を採用した場合、化粧梁の色が濃くなってきたり割れが入る経年変化を楽しむことが出来ます。
化粧梁に色を付ける塗装をすると経年変化を楽しむことは出来ませんが、時間の経過とともに化粧梁の味わいの深まりを楽しむことが出来ます。
ヴィンテージ好きな方には最高ではないでしょうか。
共に過ごした時間を感じられるのが、あらわし梁のメリットの一つです。
③お洒落な空間になる
平らな天井にビニールクロスを張るだけでは、デザイン性も空間のアクセントも作ることは出来ませんが化粧梁を採用することで空間にアクセントを付けることが出来ます。
吹き抜けに化粧梁を架けるだけでも空間のアクセントになり木の温もりを感じることが出来るようになります。
化粧梁は工法を問わずツーバイフォーでも在来工法でも施工することが出来るので、天井や吹き抜けのデザイン性を求める方にとっては良い選択と言えます。
筆者が設計した下の写真の住宅では大きな柱と梁をあらわしにしてインパクトのあるインテリアデザインにしています。
無垢材を使った家を造りたい方は参考にしてみてください。
☑薪ストーブの横に30cm角の柱に太鼓梁を架けている
※このような住宅は大手ハウスメーカーでは施工できないことが多いので、依頼する工務店に相談してみて下さい。
④木の温もりを感じられる
家の中に木が見えているだけで、何となく心が落ち着いたり、木の温もりを感じることが出来るメリットがあります。
平らな天井にビニールクロスで仕上げるだけでは、無機質な空間になり温もりはありませんが化粧梁を採用することで家の中で木の温もりを感じて気持ちも落ち着く空間になります。
⑤調湿作用
自然の木は呼吸をしています。
木には調湿作用があるので、室内の湿度を調整してくれるメリットがあります。
化粧梁が多いほど、多湿時の不快感を抑制してくれる効果があります。
調湿作用については本物の木を採用した場合だけになりますので、木に見える材料で梁のように見せる化粧梁には調湿作用はありませんので注意して下さい。
⑥木の保温性で室内が暖かくなる
木には保温性があります。
化粧梁の大きさと数によって変わってきますが、木の保温性により室内に体に優しい温もりを感じさせてくれます。
化粧梁がない場合よりも省エネにも繋がります。
あらわし梁のデメリット
①光熱費が割高になる
化粧梁を採用して天井を高くした場合に室内の空間容積が増えるため冷房や暖房の費用が割高になってしまうデメリットがあります。
さらに化粧梁を採用したい場合、冷房や暖房の容量を最適にするために専門業者に化粧梁を採用する部屋をしっかり伝えておく必要があります。
せっかく新築やリフォームをして家の中で快適に過ごせるはずが、冷房や暖房の容量の設計を失敗してしまうと暑かったり寒すぎたりしてしまいます。
デザイン重視で化粧梁を採用したい方が多く感じますので、光熱費のことや冷房や暖房の容量についても依頼する工務店にしっかりと相談したうえで採用すると良いです。
②梁上の掃除が大変
☑大きな吹き抜けに架けた梁
吹き抜けに化粧梁があると梁の上の掃除が大変です。
高い位置に届く掃除用具や脚立などに上がって掃除をする必要があります。
少しでも家の掃除が楽な方が良いという方には吹き抜けの化粧梁はオススメできません。
③音が響きやすい
梁をあらわしにして開放的な空間を作ると、室内の音が響きやすくなるデメリットがあります。
大きな吹き抜けがある間取りだと、更に音が響きます。
小さいお子様が走り回ったり騒いだりすると、かなりうるさく感じることがあります。
④防音性が低下する
1階の天井を平らに作る場合、1階と2階の間のスペースに断熱と防音のために断熱材を入れます。
これはどちらかというと防音性の向上のための断熱材になります。
平らな天井に化粧梁を採用して天井を高くすると、一階と2階の間の空間が狭くなることにより防音のための断熱材の厚さが薄くなってしまう場合があります。
防音性が低下した家にならないように、初期の設計段階で化粧梁を採用することを検討しておくと良いでしょう。
⑤照明器具の配置に注意が必要
化粧梁を採用すると設備配管や電気配線を通す場所が限られてきます。
設備配管に関しては依頼する工務店さんと設備業者に、検討してもらうほうが無難です。
一方で電気配線に関してはインテリアにもなる照明器具の配置に制限が出てしまいます。
化粧梁を採用することで天井に取り付ける大きなシーリングライトが取り付けできないこともあります。
事前にどのようなタイプの照明器具を取り入れないのかの希望も踏まえて化粧梁を採用することが大切です。
まとめ
☑あらわし梁・化粧梁とは?
☑あらわし梁・化粧梁のメリット
☑あらわし梁・化粧梁のデメリット
上記の内容で化粧梁のメリットとデメリットを解説してきました。
建築のプロの視点から言えることは、化粧梁を採用して失敗しないためには初期の設計段階から化粧梁を架ける場所を決めておくこと。
そして化粧梁は本物の木を使うことでデメリットになることをなくして満足の行く空間を造ることが出来ます。
新築だけでなくリノベーションなどの大きなリフォームですと化粧梁を採用することも出来る場合があります。
デメリットを良く理解したうえで化粧梁を採用すると、とてもお洒落で木の温もりを感じられる空間が出来上がります。